伯耆古城図録
びじょいしじょう / びじょしじょう / びじょうしじょう
美女石城
鳥取県日野郡江府町久連
別 名
－
遺 構
郭跡（腰郭、帯郭）、切岸、川掘、石垣、土塁、虎口
現 状
畑地、山林、小祠
城 主
（毛利方）天竺元氏
築城年
不明
廃城年
不明
築城主
不明
形 態
丘城
備 考
史跡指定なし
参考文献
伯耆志（因伯叢書 伯耆志巻四 大正5年10月 佐伯元吉）
鳥取縣神社誌
日野郡史 前篇（昭和47年4月 日野郡自治協会）
江府町史（昭和50年12月 江府町史編さん委員会）
新修江府町史（平成20年6月 江府町史編纂委員会）
江府町の文化財探訪[第1集]（平成元年3月 江府町文化財保護審議会）
新修鳥取県神社誌 因伯のみやしろ（平成24年6月 鳥取県神社誌編纂委員会）
縄張図
美女石城縄張図（江府町教育委員会提供）
江府町の文化財探訪[第1集]
概 略
草創は不詳。毛利氏の家臣、天竺元氏が在城したと云われる。
北から西にかけての大谷川、東の日野川を天然の川堀として利用し、南側は切岸や石垣で備えている。
大谷川を挟んで北に居館（天竺屋敷）を置いていたことから、当城は詰めの城と考えられる。
伯耆志 久連村の条 古城の項
美女石城と号す。天竺三郎四郎元氏、天正の初年、此の地に住居すと云へり。残礎の存する所を美女石と云ふ。天竺氏、当時佐川村を領し、当村は生山村の住人景行知行せしと云へり。天竺氏の事、佐川村住田氏の條下見るべし。
伯耆志 宮原村の条 美女石神の項
村の西南日野川を隔て廿丁許、大谷と呼ふ山地にあり。高三丈五尺幅二丈の大石なり。かく唱ふる故は図の如く婦人の形に似たれはなり。山下に城趾あり。在城せし人の伝等佐川村住田氏の下に記す。
伯耆志の宮原村の条では美女石の所在した山の山下を城跡としており、天竺屋敷を当城と推定している。
江府町史（昭和50年発行）では宮原村の条を参考にしたのか天竺屋敷を当城として写真を掲載していたが新修江府町史（平成20年発行）では記述自体が見えなくなっている。
久連村の条では生山村の住人、景行が知行とあり、山名景幸が周辺を治めていたと推測される。
日野郡史 前篇 久連の美女石城の項
字美め石（美女石）に在り。東に面し山麓前は日野川なり。天正の初年頃、天竺四郎三郎元氏の居城ありし由。
日野郡史 前篇の記述では所在する位置が当城か天竺屋敷か特定できないが天竺元氏が居城としている。
1582年（天正10年）、或いは1585年（天正13年）、天竺元氏が伯耆国から備中国へ移った以降の詳細は不明。
但し、いずれの年号でも備中国の古文書や伝承では天竺元氏が軽尾城へ帰ったとする形跡は見られない。
1601年（慶長6年）、中村氏による伯耆国の統治が始まると中村家の執政家老、横田村詮から下安井の太郎左衛門へ宛て、佐川と美女石の境界を日野川岸とする裁許状が発給されている。（5月20日付）
横田内膳正村詮裁許状
地元の伝承では後醍醐天皇が通った道とする言い伝えがあり、主郭に残る小祠は「あたまのかみ（上の神）」と呼ばれている。
後醍醐天皇に縁があるとも伝わり、対をなす「しものかみ（下の神）」も存在すると云われる。
呼び方も多々あり、美女石を「びじょぅし」「びじょし」とも呼ぶようである。
年 表
不明
草創は不詳。
1573年
天正元年
備中国軽尾城の城主、天竺元氏が当城へ転移したとされる。（伯耆志）
1582年
天正10年
当城の城主、天竺元氏が備中国軽尾城へ転移したとされる。（伯耆志）
1585年
天正13年
天竺元氏が佐川神社を造営とある。（鳥取縣神社誌、新修鳥取県神社誌 因伯のみやしろ）
1601年
慶長6年
地 図
写 真
訪城日 2015/06/28、2015/11/15
佐川からの遠望
西からの遠望
美女石
主郭の石垣
主郭の石垣
南側の民家裏に参道
参道から主郭へ
主郭に伝「あたまのかみ」の祠
伝「あたまのかみ」の祠
主郭
主郭
主郭
主郭から南一郭への土橋
土橋
南一郭の切岸
南一郭切岸の礎石
南一郭は多段（畑跡？）
切岸に礎石跡が見える（畑跡？）
南一郭の多段
南一郭の多段
南一郭の石垣（東腰郭上部）
南一郭から東腰郭
南一郭から西腰郭（畑地）
南一郭から南西へ古道
南西の山中に堀切
南西の山中に虎口？
南西の山中の土塁？
南西の山中に虎口？
南西の山中に虎口（下から）