所在地

鳥取県日野郡江府町久連

城　名

美女石城（びじょいしじょう）

別　名

美女石城（びじょしじょう）…地元での呼び名。「びじょうし」「びじょぅし」など複数のイントネーションが存在する。

築城主

不詳

築城年

不詳

廃城年

不詳

形　態

丘城

遺　構

郭跡（腰郭、帯郭）、切岸、川掘、石垣、土塁、虎口

現　状

畑地、山林、小祠

備　考

史跡指定なし

縄張図

美女石城縄張図（江府町の文化財探訪[第1集]）　※江府町教育委員会提供

城　主

毛利

天竺元氏

備中国軽尾城から転移とある。

参考資料（史料及び文献、郷土史など）

伯耆志（因伯叢書 伯耆志巻四 大正5年10月 佐伯元吉）

鳥取縣神社誌

日野郡史 前篇（昭和47年4月 日野郡自治協会）

江府町史（昭和50年12月 江府町史編さん委員会）

新修江府町史（平成20年6月 江府町史編纂委員会）

江府町の文化財探訪[第1集]（平成元年3月 江府町文化財保護審議会）

新修鳥取県神社誌 因伯のみやしろ（平成24年6月 鳥取県神社誌編纂委員会）

年　表

1573年

天正元年

備中国軽尾城の城主であった天竺元氏の伯耆国への移転を伝える。（伯耆志）

1582年

天正10年

城主であった天竺元氏の伯耆国から備中国軽尾城への転移を伝える。（伯耆志）

1585年

天正13年

天竺元氏が佐川神社を造営とある。（鳥取縣神社誌、新修鳥取県神社誌 因伯のみやしろ）

1601年

慶長6年

5月廿日、横田村詮から下安井の太郎左衛門へ宛て、佐川村と美女石村の境界を日野川岸と決める裁許状が発給される。

概　略

草創は不詳。毛利氏の家臣であった天竺元氏が在城と伝える。

北から西にかけては大谷川、東は日野川を天然の川堀として、南側は切岸や石垣で備えている。

大谷川を挟んで北に居館（天竺屋敷）を置いていたことから、当城は詰めの城と考えられる。

 

伯耆志 久連村の条 古城の項

 

伯耆志 宮原村の条 美女石神の項

 

伯耆志の宮原村の条では美女石の所在した山の山下を城跡としており、天竺屋敷を当城と推定している。

江府町史（昭和50年発行）では宮原村の条を参考にしたのか天竺屋敷を当城とする写真が掲載されていたが、新修江府町史（平成20年発行）では記述自体が見えなくなっている。

久連村の条では生山村の住人景行が知行とあり、山名景幸が伯耆国生山城を本城として広く日野郡内を治めていたことが推測される。

 

日野郡史 前篇 久連の美女石城の項

 

日野郡史 前篇の記述では所在する位置を当城か天竺屋敷か特定できないが、天竺元氏が居城としている。

 

1582年（天正10年）或いは1585年（天正13年）、天竺元氏が伯耆国から備中国へ移った以降の詳細は不明。

但し、いずれの年号でも備中国の古文書や伝承では天竺元氏が備中国軽尾城へ帰ったとする形跡は見られない。

 

1601年（慶長6年）、中村一忠による伯耆国の統治が始まると中村家の執政家老、横田村詮から下安井の太郎左衛門へ宛て、佐川村と美女石村の境界を日野川岸で区切るとする裁許状が発給されている。（5月20日付）

 

横田内膳正村詮裁許状

 

地元の伝承では後醍醐天皇が通った道とする言い伝えがあり、主郭に残る小祠は「あたまのかみ（上の神）」と呼ばれている。

後醍醐天皇に縁があるとも伝わり、対をなす「しものかみ（下の神）」も存在すると伝える。

呼び方も多々あり、美女石を「びじょぅし」「びじょし」とも呼ぶようである。

写　真

2015年6月28日、2015年11月15日