所在地

鳥取県倉吉市福光

※今倉城の城域一帯は全て個人所有地、住宅地となります。所有者の許可無く登城はされないようお願いします。

城　名

今倉城（いまくらじょう）

別　名

島田城（しまだじょう）…所在した村名に因む呼称。伯耆民談記では島田の城（しまだのしろ）としている。

 

嶋田城（しまだじょう）…陰徳太平記に記述が見える呼称。伯耆民談記では嶋田の城（しまだのしろ）としている。

 

今倉砦（いまくらのとりで）…小規模な城砦であったとする表現。

築城主

吉川元春

築城年

1579年～1580年（天正7年～天正8年）

廃城年

1600年（慶長5年）

形　態

平城

遺　構

郭跡、堀切、土塁、水堀（薬研堀）、櫓台

現　状

住宅地、畑地、竹林

備　考

史跡指定なし

縄張図

今倉城略測図（鳥取県中世城館分布調査報告書第２集（伯耆編））　※鳥取県教育委員会提供

城　主

毛利

吉川

正寿院利庵

天正年間に吉川氏へと与して在番した部将のひとり。

小鴨四郎次郎

天正年間に吉川氏へと与して在番した部将のひとり。

鈴川次郎左衛門

天正年間に吉川氏へと与して在番した部将のひとり。

城　主

南条

須藤丹波

京芸和睦から中国国分により南条氏の領有となった頃の城主。

参考資料（史料及び文献、郷土史など）

伯耆民諺記（寛保2年 松岡布政）

伯耆民諺記（写）（昭和23年 原田謙）

伯耆民諺記（写）（昭和23年 原田謙）

伯耆民談記 巻下（大正3年3月 佐伯元吉 因伯叢書発行所）

伯耆民談記（昭和2年10月 佐伯元吉）

伯耆民談記（昭和35年3月 印伯文庫）

因伯叢書 羽衣石南條記（大正4年10月 因伯叢書発行所 佐伯元吉）

新修 倉吉市史 第二巻 中・近世編（平成7年3月 倉吉市史編集委員会）

倉吉市文化財調査報告書第27集「今倉城跡・今倉遺跡発掘調査報告書」（昭和58年 倉吉市教育委員会）

日本歴史地名大系32巻 鳥取の地名（1992年10月 平凡社）

概　略

国府川（こうがわ）の西側に所在する。

字名に「城山（しろやま）」「城の前」「城の内」が残り、現在でも屋号として使われている。

 

伯耆民談記 巻之第十四 久米郡古城の部 今倉の城の事

 

別名を島田の城とも伝えるが、かつての今倉村と嶋田村の境界上に城砦がまたがって所在したことに由来する。 （伯耆民談記）

 

1579年（天正7年）、南条氏が織田方へと通じる気配を見せ始めた頃、南条氏の領有する伯耆国岩倉城に対する向城として吉川元春が築城を命じたと伝えられる。

同年～1585年（天正13年）、南条方の岩倉城に相対し吉川方は正寿院利庵、小鴨経春、鈴川次郎左衛門など勇将を在番させ南条方の襲撃を防いでいる。

 

1582年（天正10年）、京芸和睦の成立後に八橋郡を除く東伯耆は南条氏の領有とされ、南条家の家臣であった須藤丹波の在城を伝える。

一説には京芸和睦の裁定では周辺領主の知行は確定しておらず、1585年（天正13年）の中国国分による領地確定後から在城とする説も見える。

須藤丹波は国造石川氏を滅ぼし、領内で横暴の限りを尽くすなど南条氏の意に反する行動が目に余ることから文禄年中（1592年～1596年）に誅殺され滅ぼされたと伝える。

京芸和睦から中国国分による領地境界の確定時期に諸説あることから、須藤丹波の入城は1582年（天正10年）、1583年（天正11年）、1585年（天正13年）の３説が見える。

 

1600年（慶長5年）、本城であった伯耆国羽衣石城の破却と併せて廃城とされる。（伯耆民談記）

但し、刊行が古い伯耆民談記に廃城の時期は見えず、比較的新しい伯耆民談記（書籍など）には「夫より間もなく慶長五年、羽衣石滅却の時、当城も廃亡せり」と末尾に一文が追加されている。

 

日本歴史地名大系32巻 鳥取の地名（鈴木孫三郎所持本 伯耆誌）

 

鈴木孫三郎所持本伯耆誌（1734年（享保19年））では城主を大藤丹波としているが須藤丹波の誤字と考えられている。

 

現在、城跡とされる場所には民家が建ち、土塁の一部が残る。周囲を巡る水路も外堀の名残と伝えている。

民家にお住まいの方の話では昭和9年まで内堀、外堀が現存していたが同年に内堀を埋め現在の住宅を建てたとのこと。

その際の発掘調査では馬の骨も出土したとされる。

写　真

2015年5月24日