伯耆古城図録
にぶかみようがい
二部上要害
鳥取県西伯郡伯耆町二部(字要害)
別 名
二部要害城(にぶようがいじょう)、二部城(にぶじょう)
遺 構
郭跡、腰郭、帯郭、堀切、土塁、切岸、居館跡、井戸跡、竪掘(鉄穴流し跡?)
現 状
山林、畑地、配水池
城 主
(藤原方)足羽久重
築城年
不明
廃城年
不明
築城主
不明(後藤実基?)
形 態
丘城
備 考
史跡指定なし
参考文献
伯耆志(因伯叢書 伯耆志巻五 大正5年11月 佐伯元吉 因伯叢書発行所)
日野郡史 前篇(昭和47年4月 日野郡自治協会)
日野郡史 中篇二(昭和47年4月 日野郡自治協会)
溝口町誌(昭和48年9月 溝口町誌編さん委員会)
ふる里 野上の郷(平成11年12月20日 溝口町二部公民館 著)
溝口町制施行40周年記念 文化財ガイドブック ふるさと溝口(1993年 溝口町教育委員会編)
新修鳥取県神社誌 因伯のみやしろ(平成24年6月 鳥取県神社誌編纂委員会)
縄張図
二部上要害略測図(鳥取県教育委員会提供)
鳥取県中世城館分布調査報告書第2集(伯耆編)
概 略
かつて宿場町として栄えた二部宿の南東側、字「古城山」(伯耆志では要害山)に所在する。
伯耆志には二部村内に2ヶ所の古城跡を記しているが、土居山は伯耆国古寺生松城、要害山は当城と伯耆国二部城の2城を示すと考えられる。
当城と二部城の構造はほぼ同じ造りとなっており、南側に主郭を配置し北側には広い平削地を設け兵員の駐屯地を確保している。
城主の居館とする古寺生松城から遠い当城の方が施設の普請が甘いように見え、西側の竪堀状の削地が鉄穴流しの影響を受けたと推測されるが二部城に比べると残存状態が良好である。
伯耆志の二部村の条 古城の件
一は土居山と称す。事蹟詳ならず。
一は要害山と云ふ。永禄中、足羽将監此に居すと云へり。説、足羽氏の下に載す。近年、鉄砂を流すか為に城跡大に崩れるといへとも今なほ形様を存す。
伯耆志では江戸時代の頃に鉄穴流しによって大きく破壊されていたことが記されている。
当城の遺構の残存状態から西側の竪堀状の削地周辺が推測されるが、その他に目立つ痕跡が見受けられないことから試掘に留まった可能性も。
ふる里 野上の郷
足羽筑後守久重納経至徳4年(1387年)の記あり。
郷土史では1387年(至徳4年)、足羽久重が納経とあり、当城に足羽氏が来城、或いは在城したとする可能性を付記している。(ふる里 野上の郷)
年 表
1387年
至徳4年
足羽久重が納経とある。(天寧山傳燈寺?)
地 図
写 真
訪城日 2014/10/12
北側の居館跡とされる郭跡
主郭は配水池施設
主郭南側の四連郭
主郭北西側の帯郭
竪掘(改変や崩落の可能性あり)
配水池に続く舗装道路
主郭南側に展開する四連郭(最上段)
主郭から南側に展開する四連郭
四連郭の一部には土塁
主郭北側の井戸跡の郭跡